烏骨鶏たちは日に日に成長していきます。オス烏骨鶏、『おもち』には立派で集合体恐怖症の方がみたら卒倒してしまうような
次第に慣れ、皆、一回り大きくなりました。いつしか、ひよこらしい鳴き声はなくなり、ニワトリらしい声に変化してきました。
先に発情期を迎えたのはオス烏骨鶏の『おもち』でした。雄鶏ならではの求愛行動でメス烏骨鶏『ぷりん』とチャボ『わかば』に積極的にアピールします。しかし、まだ心も体も成熟していない雌鶏二羽はおもちの求愛行動に恐怖しか抱きません。全力で彼から逃げて挙句の果てには嫌っていきます。
おもちはそんな2羽に業を煮やし、漲る性欲に我慢の限界。対象が近づこうものならば力づくで項に嚙みついて背中に跨ります。跨れた2羽からしたらたまったものではありません。もう、絶叫しながら拒否します。社員から見てもおもちの強引さはひどいなぁと思うので、全力で拒絶されても致し方ないと思います。
そんな時、哀れな雌鶏2羽に救いのヒーローが現れました。桜技研鶏舎部リーダーのオスチャボ『ささ』です。『ささ』には愛しい番のチャボ『さくら』がおり、基本的には彼女にしか交尾はしない愛妻家です。しかし、この鶏舎の長である以上風紀を乱す輩には制裁を加えるのもお仕事です。少々おいたが過ぎるおもちに思いっきり飛び膝蹴りを浴びせました。
大きさでは圧倒的におもちの方が勝ってますが、けんかに関しては経験と実績はささの方が上手。
ぷりんとわかばに相手にされないおもちはついに禁断の相手、さくらに手を出そうと企んだようです。背後から忍びより、一気に駆け寄ってモーションを仕掛けます。が、さくらには番がいるのです。一生を捧げた相手がいます。
ついにおもちは持て余す性欲を発散すべく、わかばにマウント。当然意中の相手ではないので、わかばはそれはもう断末魔の様な叫び声をあげながら逃げる逃げる。しかし、ここは残念ながら狭い鶏舎。ついに捕まったわかばはなし崩しにおもちと番になってしまいました。
ころりころりとさくらがお遊びに転がしていたその白い塊、それは卵ですね。どちら様のでしょうか。産んだ本人がお遊びする事も無いでしょうから、他の者たちですね。考えられる候補は、1羽しかおりません。わ・か・ばぁぁぁ!大切な初卵を適当に転がしとかないで。
令和4年の3月始め、ついに烏骨鶏のぷりんが営巣を始めました。稲わらを掴んでは後ろに放り、掴んではまた放り、たまに自分のお尻に乗せて着飾ってみたりそわそわして落ち着かなくなってきました。鳴き声もいつもの控えめな「ぶぅ。」ではなくちょっと焦ったような「ぶ~ぶぶぶ~。」と携帯電話に鬼電があるような感じになりました。不思議なことに桜技研のニワトリたちに限ってなのか、そうではないのかは定かではありませんが誰かが卵を産もうとするとき他の鳥たちはとても静かになります。この時ばかりはささもおもちも決して喧嘩をしません。ささは産卵箱の手前に陣取り敵が来ないように監視し、おもちは傍で見守ります。同じ雌鶏のさくらとわかばは産卵箱の中には入らないものの隣に立ち気が散らないように静かにしています。たまにぷりんが苦しそうにすると首を