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ペローシスに負けない!ゼロの開張肢の矯正処置について

  
 『ゼロ』は烏骨鶏の父と碁石チャボの母から生まれた混合品種、言わば「雑種」です。烏骨鶏の『おもち』がちゃっかり碁石チャボの『さくら』に手を出していた様で、「さくらの産んだ卵なら100%碁石チャボじゃん!孵化させよう!!」と盛大に油断と誤解したスタッフが孵化させて誕生したニワトリです。
 全体的に父親の烏骨鶏の血が濃く出ており、足の指は烏骨鶏と同じく5本で、表皮もチャボと異なり黒色をしています。但し羽質は烏骨鶏の線毛ではなくチャボと同じ一般的な羽毛を持ち合わせております。しかし組織がより繊細で普通の羽毛よりも柔らかく密に生えています。ですので触り心地は本当に気持ちいいです。
 ひよこの内はまだ白い部分が多かったのですが、成長と共に徐々に黒地の面積が増えていき最終的には頭の冠羽の周りだけ碁石チャボらしいまだらの白黒文様を残すだけになりました。ぽわんと小爆発を起こしたような冠羽は叔母の烏骨鶏『ぷりん』に似ています。
 性格はおとなしく、若干さみしがり屋です。面倒見がよく、妹分の『このは』のお世話をつきっきりで行い、良いお姉さんです。

 ゼロがパカンと卵を破って誕生した時のスタッフの衝撃と言ったら、ありません。何せスタッフとしてみたら碁石チャボが生まれてくるものだと思い込んでいたので、生まれたばかりの彼女を目の当たりにしたときはそれはそれは目玉が飛び出るくらい驚きました。


社員『社長!やばい者が生まれました‼』
社長『生まれた?……?あれ、お前碁石が生まれるって言ってなかったっけ。』
社員『いや、はい。さくらが産んだものなので、父親はパートナーの碁石チャボ「ささ」だと思ってました。』
社長『うん。…で、これは何。』
社員『えっとぉ…。多分一晩の過ちがあったんですよ。「ささ」の預かり知らぬところでアバンチュールがぁ・・・。』
社長『……。』
社員『……。』
社長『今年のクリスマスのお肉はくいっぱぐれることが無さそうだ。』
社員『えぇ!メスなら卵産んでくれますよぉ!』
社長『メスなら良いよ。オスなら……正直品種としての価値はない訳でしょ。』
社員『あばばばばばばば……(メスであってくれい!)』
 
 生後80日齢を過ぎたあたりでようやくメスだとわかり、ホッとした社員。この子に関しては色んな意味でゼロからのスタートだった事が多いので名前もいつの間にか『ゼロ』になってました。
 しかし、こんなゼロに降りかかった災難はそれだけではなかったのです。
 ここではそんなてんやわんやな『チャボッケイのゼロ』に密着したページです。

腹這いのひよこ●ペローシス●

 ゼロが生まれた次の日当たりにようやく社員が違和感を持ちました。

社員『この子、あまり歩かないなあ…。』
 
 ひよこは基本的に羽毛がふかふかに乾くころにはよちよち歩きをします。ファイトがある子は地面をつつき餌を探す仕草までします。しかし、ゼロは孵化後24時間経過してもじっと座ったままあまり動きませんでした。練餌にはバクバクと喰いついていたので、しっかりと食欲は有り内臓や消化器官には問題無さそうでした。排泄も上手に出来ており肛門周りも全くきれいなものです。ひよこらしく元気にピヨピヨ鳴いているのですが、やっぱりじっとしています。
 不思議に思った社員は餌を少し遠くに置いてみました。するとゼロは匍匐前進で餌の所へ…。「これは…。」社員の脳裏に浮かんだのは『ペローシス(開張肢)』でした。
 
 ペローシスとは生まれた雛の脚が開脚状態になり起立出来なくなる状態の事を指します。立ち上がることがきちんと出来ないと胸部で全体重を受け止めなければならない為、胸骨の変形や、胸郭が浅くなることによる呼吸不全等を慢性的に引き起こします。原因はよくわかっておらず人工ふ化で孵す時の問題や栄養状態・遺伝的なもの等様々な要因が有るそうです。

 但し、生後4週間以内であれば矯正処置で改善出来る事もある疾患です。
 
 ゼロには辛い処置になるだろうけれど、早いに越したことはないなぁと早速矯正処置を始めました。
 画像の下、黒いヒヨコがゼロ。上のひよこ(後のこのは)と異なり、体がべちゃりと床についています。

頑張れ!ゼロ ◆矯正処置開始◆


 ネットや様々な文献から矯正処置について調べていくと、困ったことに結構皆やり方がバラバラでした。しかもこの疾患どうやらセキセイインコに多いようであまりニワトリに対する症例というのがありませんでした。方法も多岐にわたりテーピングから固定まで色々有りました。ですので最終的に今のゼロの状態と社員たちが出来そうな範囲に絞り、焦らずじっくり取り組むことにしました。
 
 ・テーピングのみの矯正。固定はなし。
 ・ゼロが眠る夜間のみ矯正。昼間はしない。
 ・矯正中は動けないので定期的に寝返り介助。
 ・マッサージする。
 ・美味しいごはん。
 
 上の項目だけやりました。使用したテープは普通に薬局で購入出来る「くっつく包帯」を細かく切った物を使用しました。筋肉がしっかりつけばいいのかなぁという勝手な発想でたんぱく質を多めにしたオリジナルのエサを調合しました。(ミールワームやふやかした大豆を潰して練ったり、菜っ葉にほんのちょっぴり無糖ヨーグルトかけたりしたもの…)
 マッサージはゼロが嫌がらない範囲で脚を伸ばしたり、関節部分を優しく揉んだり、小さいので手のひらで包んで下半身をよく撫でて刺激したりしました。後は夜間同じ体制は人間でも辛いので定期的に起きては向きを変えたりして血行不良にならないように気を付けてました。
 
 矯正中のゼロ。痛々しい。でもめげないで頑張ってくれた。因みにテーピング担当は社長です。眠たい目を擦りながらも丁寧に痛くしないようにテーピングしてました。「眠い、メンドクサイ」等決して言わないできちんと施術するあたり、流石社長です。
マッサージ中のゼロ。決して握り潰している訳ではないです。加減してコロコロもみもみしています。社員が担当しました。
 

ゼロ立つ‼◆改善してきた!打倒ペローシス!◆

 ゼロにとっては地獄のような3日間だったと思いますが、その3日目あたりからかなりの成果が出始めました。
 
 匍匐前進も少しずつ脚を使って歩けるようになり、多少ふらつくことも有りますが立てるようになってきました。
 矯正5日目にはピンと立てる様になり、きびきび歩けるようになってきました。しっかりと地面に脚を付けて立てて居る様なのでここでテーピングはストップし、美味しいごはんとマッサージのみに切り替えました。
 
 そして、7日目には走り回れるぐらいに改善しました。マッサージはここでストップし、美味しいごはんだけになりました。
 
 10日目には普通のひよこごはんになりました。びょんびょん跳ね回るくらい改善しました。
 
 矯正2日目のゼロ。まだまだふらついているけれども、少し踏ん張れるようになってきました。
 
矯正4日目のゼロ。まだ少し不安なので介助の手を添えていますが、しっかりと立てる様になりました。関節も変な方向に曲がってはいないようです。

矯正6日目のゼロ。介助なく、しゃんと立てる様になってます。ひよこらしくぴょこぴょこ歩けるようになりました。座る事も、捕まる事もスムーズに出来ているようです。短時間ですがトトっと走れることも出来ます!
 
 漸く、ゼロにとっては長い長い矯正生活が終わりました。自由に脚が使えるようになったゼロはもう妹分のこのはにご飯を盗られることもありませんし、何なら一緒に遊ぶことも出来る様になりました。これからはもっと沢山食べて寝て大きくなって逞しく成長していってほしいものです。
 

日常生活に問題無し ★治療終了と鶏舎に引っ越し★

あれから更に時は過ぎ、ゼロとこのはは遂に鶏舎デビューを果たしました。ルームメイトはわかばです。温厚なわかばですので、最初は侵入者の様にゼロ達に対して警戒していましたが、すぐに打ち解けたようで一緒に餌を食べたり散歩したりしていました。

もう走れるよ❕



 生後100日齢を過ぎたゼロは、かつてペローシスを患っていたとは思えないほどの脚力を持ち元気に過ごしています。高い所から飛び降りてもしっかりと脚で地面に着地し、お腹が着いてしまうこともありません。妹分のこのはと一緒に駆けっこしたり、餌を奪い合ったり砂浴びしたりと日々の生活を満喫しているようです。そのうち良いパートナーが見つかれば上質な卵も産む事でしょう。すっかり顔も幼さが鳴りを潜めマブイ(もはや死語)お顔になりました。
 すっかり鶏舎の生活にも慣れ、社員に対する態度が以前よりもかなりドライになってしまいかなり寂しく思う今日この頃です。
 ですが、元気が一番ですね!





ゼロはまだまだ大きくなるぞ~!!

 


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